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​呼吸器科

Thoracic surgery

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咳、くしゃみ、むせる、いびき

ハーハー苦しそう、ガーガーとガチョウのような息づかい

 

呼吸器疾患には色々なものがあり 命に直結することもまれではありません

手遅れにならないうちに、言葉を持たない動物だからこそ

そのシグナルに気づいてあげてください

  気管虚脱  

この難病への挑戦!気管虚脱は治らない病気ではない!

日本でただ一つ、世界で唯一。この治療法。

気管虚脱は、肺への空気の出し入れを行う気管が途中でつぶれてしまい呼吸が出来なくなる病気です。小型犬の中高齢で発生率が高いとされますが、日本の中型犬やゴールデン・レトリーバー、ラブラドル・レトリーバーといった大型犬がこれに続き、ほぼ全犬種にみられます。 

症状は、最初軽い咳から始まって、喉につっかえるような咳、もどす動作、豚のような呼吸、ガチョウが鳴くような呼吸などと進行して行き、末期ではチアノーゼを呈して、呼吸困難になります。現在この病気は、難治性疾患として位置付けられ、積極的な治療が行われていないのが現状です。当院では、古くからこの疾患に対し積極的な外科的治療を行ってきました。特に2000年に開発した、全く新しい形状の矯正器具・Parallel Loop Line Prostheses(PLLP)を用いて、非常に優れた治療成績を収めています(現在約1000症例)。気管虚脱は治らない病気とあきらめるのではなく、治せない状態になるまで静観しない、内科的な治療も含めて軽い咳をするという初期の段階から充分な注意を払いながら『正観』すべきであることを提案します。 

日本でただ一つ、そして世界で唯一。

当院では、気管虚脱に対する外科的治療により、根治を目指します。 

​  短頭種気道症候群  

パグ、フレンチ・ブルドック、ボストン・テリア、イングリッシュ・ブルドック、シーズーなどに代表される短頭種において多く見られる病気です。猫でもチンチラやヒマラヤンなどの鼻の詰まった種類では時々見られます。また、意外に知られていないのが、チワワ、マルチーズ、ヨークシャー・テリアなどのトイ種も短頭種に分類されますので、同じような症状が出る場合には要注意です。

 

短頭種気道症候群は、短頭種に特有の平坦な顔面、円形の頭部、そして短く太い頸部など、頭頸部の解剖学的構造に起因する閉塞性気道障害の総称です。多くは、狭窄性外鼻孔(1)、軟口蓋過長症(2)、喉頭室外反(3)および喉頭虚脱(4)、気管低形成(5)あるいは気管虚脱(6)など複数の病気が合併します。また、以上のはっきりとした疾病名がつけられている病気の他にも、厚い舌、末端部が肥大した軟口蓋、口腔内へ張り出す咽頭粘膜、扁桃の腫大などが複雑に関連します。

典型例では、生後間もなくより(遺伝的素因)発現し、慢性経過をたどりながら連鎖的に悪化することになります。

 

症状は、激しいパンティング(ハーハーハーと、リズムの早い呼吸)、高体温、特に空気を吸う時に明瞭な激しい喘鳴音(ヒューヒューといった喘息に似た狭いところを空気が通る音)がみられ、重症化すると呼吸困難、運動不耐性、元気消失、 嚥下困難、 食欲低下が顕著となり、失神することもあります。呼吸器症状とは別に、嘔吐、下痢などの消化器症状を現すことも多くみられます。

​  軟口蓋過長症  

 犬や猫では、人のような口蓋垂はありません。垂れ下がった口蓋垂がないため、弧を描く形で、咽頭の上に存在するのが軟口蓋です。軟口蓋過長症は、これが長くなり過ぎてしまい、気管の入り口である喉頭をふさぎ、特に就寝時にはこれが振動して「いびき音」が発生します。いびきは、病気だと思ってください。

 パグ、フレンチ・ブルドック、ボストン・テリア、イングリッシュ・ブルドック、シーズーなどの短頭種で圧倒的に多く、ヨークシャー・テリア、チワワなど、さらにはチンチラスコティッシュホールドなどでもみられることがあります。ゴールデン・レトリーバーや、ラブラドール・レトリーバーなどの大型犬に見られることもあります。

​  喉頭麻痺  

喉頭虚脱と類似しますが、喉頭麻痺は喉頭を動かす神経または筋肉の障害が原因となります。気管の入り口である喉頭は、幾つもの軟骨とそれを結ぶ結合織や筋肉により構成されています。特に喉頭口の開閉に影響するのが披裂軟骨です。声帯の上の部分に位置し、吸気時には左右に拡張して喉頭を円形に広げます。その下に位置する声帯も同時に広がり空気の吸入を最大限にします。喉頭麻痺ではこの披裂軟骨が開閉されないために、空気が十分に吸えないことになります。

 

 ブービエ・デ・フランダースやハスキーでは、先天的な喉頭麻痺が報告されています。しかし先天的な喉頭麻痺の発生は極めてまれで、多くは中型から大型犬でみられる特発性喉頭麻痺です。特にゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバーが多くみられます。小型犬では発生はまれですが、気管虚脱や短頭種気道症候群に合併することがあり、多くは予後不良です。

​  喉頭室外反  

声帯の横のくぼみを喉頭室と呼びますが、喉頭室外反は炎症により喉頭室の粘膜が浮腫(水ぶくれのようなもの)を起こし、腫れてしまうことにより気道を狭窄する病気です。

喉頭は、空気を吸う時には円形に広がりますが、喉頭室外反があると喉頭口が半分しか広がることができずに思うように呼吸ができなくなります。

短頭種気道症候群に併発することが多い病気ですが、長時間吠えたり、激しい咳の後に発生をみます。したがって、短頭種に多いことはもちろんですが、あらゆる犬種で発生することがあります。

診断は、内視鏡検査によります。他の疾患との合併もありますので、その鑑別診断も重要です。特に、後述する喉頭虚脱のステージ1であるとの報告もありますので、喉頭軟骨の強度や動きに注意が必要となります。

症状は呼吸困難が主であり、聴診により喘鳴音が喉頭部で聞こえてきます。

 

治療

急性浮腫であれば、超短時間作用型の副腎皮質ホルモン剤の注射で炎症が引くことがあります。しかしながら、慢性経過を来している症例では、外科的な切除が必要です。

​  喉頭虚脱  

喉頭は、呼吸時には気道を拡大させ空気を吸い、飲水時や採食時には閉じて水や食べ物が気管へ入らないようにする装置です。この動きに欠かせない披裂軟骨と呼ばれる軟骨が強度を失い、吸気時に気管側へ入り込んでしまう病気が喉頭虚脱です。

そのステージを3つに分類し、前述した喉頭室外反は喉頭虚脱のステージ1であると主張する研究グループもあります。ステージ2、3では、披裂軟骨の楔状(くさびじょう)突起や小角突起が内側へ変位してきます。

 

好発犬種は、パグ、フレンチ・ブル、イングリッシュ・ブル、キャバリアなどの短頭種で、2歳齢以上に多く、高齢で発生する場合には重篤な症状を呈します。診断は、麻酔下における内視鏡検査です。喉頭麻痺や、その他の呼吸器疾患との鑑別も重要です。

 

〜治療〜

ステージ1の喉頭室外反は手術により浮腫を起こして反転した喉頭室粘膜を切除します。しかし、ステージ2および3の披裂軟骨が脆弱(脆く弱いこと)になり、吸気時に内方へ反転して、空気の吸引を妨げてしまいます。脆弱化が重度の場合には、手術法はないとされます。

しかし、2014年、新しい外科的手術法を考案致しました。

新法では、口腔内アプローチにより手術が可能で、特に緊急時への対応策として比較的容易に喉頭を広げることが可能です。縫合する軟骨の強度が重要で、小型犬よりも大型犬になるにしたがい軟骨の離開(縫合糸により切れてしまうこと)が起きる可能性が強くなります。長期維持のためには、喉頭麻痺に対して行う披裂軟骨側方化術という手術が適応となる可能性も有りますが、小型犬の場合には術野の狭さと披裂軟骨の強度の問題から適しておりません。

​ケンネルコフ(犬伝染性気管・気管支炎)

呼吸器の感染症で、いわゆる犬の風邪です。症状は呼吸器に限られ、短い乾いた咳を特徴とします。食欲は正常に近く、元気も失われませんが、微熱を出すことがあります。ペットショップなど高密度で飼育されている犬の間に広がりやすく、混合ワクチンの接種で予防することができます。

​  猫喘息  

猫喘息とは小気管支と細気管支の内腔が狭くなることによって起きる呼吸困難の反復性発作のことで、発作中の喘鳴性呼吸が特徴です。

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