アトム動物病院
◆イヌの呼吸器疾患◆


いびき・くしゃみ・むせる・・・ハーハーしすぎる・ガーガー呼吸・・・
「咳き込む訳ではないけれど、」
「平気って言われたけどほんとに大丈夫なのかな?」
「こんな息づかいふつうなのかな?」
の疑問に答えるヒントがあるかも。

呼吸器外科に自信のある病院だから説明できることがあります。

各項目からリンクできます
>>軟口蓋過長症<<
>>短頭種気道症候群<<
>>気管虚脱<<
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軟口蓋過長症

軟口蓋は、上あごの一番奥にある柔らかい部分です。鼻腔の腹側面と口腔の背側面の最後部位にあたり、ヒトではここに“のどチンコ(口蓋垂)”があります。犬や猫には口蓋垂はありませんが、軟口蓋過長症はこの軟口蓋が長く伸び空気を吸う時に喉頭蓋へかぶって気道を塞いでしまう病気です(付図1)。

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好発犬種は、パグ、ブルドック、フレンチ・ブルドック、シーズー、ボクサー、ボストンテリアなどの短頭種が挙げられ、キャバリア・キングチャールズスパニエル、ヨークシャーテリアおよびチワワなどにおいても時々みられます。猫ではほとんどみられません。
  症状としては、いびきが最も特徴的です。寝息とは明らかに違い、完全な“いびき”として聞こえます。「この子は寝ている時に、“いびき”をかくのよ、はっはっはっー!」、「うちのお父さんよりうるさい“いびき”なの」などと、よく笑いながらお話される飼い主さんがいるのですが、笑いことじゃない場合があります。その他、鼻を鳴らすような呼吸、開口呼吸、嚥下困難などがみられ、興奮時に症状が悪化する傾向にあります。また、食べ物を飲み込む時にむせる、水を飲んでからもどす、などの症状もあります。重症例では、呼吸困難やチアノーゼを発現しまし、失神する場合もあります。
 診断は“いびき”をかく、この症状だけでできますが、臨床症状と一般身体検査によりその進行度が治療に際して重要となります。また、気管虚脱、鼻孔狭窄、喉頭虚脱など、その他の上部気道疾患との鑑別診断が必要です。軟口蓋過長症は、単独の場合もありますが、これらの疾患と併発している場合が多くみられます。確定診断は喉頭部を直視することが最良です。しかし、鎮静あるいは麻酔が必要となり、本症のような上部気道の閉塞を来す動物への不用意な麻酔は、時に致死的となるため十分な注意と知識が必要です。
  治療は、急性症、つまり高温多湿や異常な興奮などが誘発となり、急激な呼吸困難を発現した症例には、できるだけ早急な処置が要求されます。これには、酸素吸入や冷却、コルチコステロイドの投与などの内科的療法が優先されます。急性症は一時的なものですが、その後症状はひどくなくとも完全な治癒を目指すならば、軟口蓋の切除術といった外科的治療が必要です。手術に関しては、決して難しい手技が必要とされる訳ではありませんが、喉頭部は非常に過敏な部分で、電気メスは使わない、手術手技は短時間かつ的確に、術前評価・術後の麻酔管理の徹底など細やかな注意を怠らなければ、手術の経過はおおむね良好です。

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短頭種気道症候群


読んでそのままですが、ボクサー、イングリッシュ・ブルドック、パグ、ボストン・テリア、フレンチ・ブルドック、シーズーなどの短頭種に好発します。猫ではほとんど見られませんが、まれにヒマラヤンなどでは発症するとされます。この病気は、鼻孔狭窄症(鼻の穴が狭い)、軟口蓋過長症(前述の軟口蓋が長く、気道にフタをする)、喉頭虚脱(喉頭が反転する)、喉頭浮腫(喉頭部が水を含んだように腫れる)および気管低形成(気管が細い)などいくつもの疾患が複合して起こり、上部気道の閉塞(ふさがってしまう)を来します。
  症状は、狭い鼻孔を通るズーズーという鼻の音、苦しさのため口を開けガーガーという呼吸、あるいは“いびき”などに始まり、気温上昇による騒々しいパンティング(ハッハッハッ、といった浅く速い呼吸)、病状の悪化に伴い泡状の唾液をもどしたり、食餌を飲むことができない(嚥下困難)、そして運動をしたがらなかったり(運動不耐性)、すぐに疲れて座り込むようになります。
  原因は、短頭種における解剖学的な構造の異常によります。品種改良により独特な鼻の短い犬種を作ることにより、さまざまな形で上部気道の異常、呼吸をする上での不都合が生じることになってしまったのです。特に高温多湿、肥満、興奮などは危険因子となって、病状の急激な悪化を招く場合があります。

  治療は、原因となる部位の一部あるいは複数に外科的矯正術を行う事が最も適切な治療です。経過が長いものほど病勢は複合化してきますので、早期の治療が理想的です。一般的には、鼻孔形成術、軟口蓋過長症切除術、喉頭切除術を行いますが、当院ではこれに気管拡張術を加えます。複数の手術が必要な理由は、以上の全ての要因が重なり合って病状を悪化させているため、ひとつでもそのままであればある程度の症状軽減は出来ても、やはり呼吸器症状が残ってしまうためです。しかし、気管拡張術はどの施設でも行われてはいません。当院では、気管虚脱(気管がつぶれる病気)に対する独自の外科的矯正術を積極的に行っていますが(気管虚脱の項を参照)、その応用として気管拡張術が可能です。ただし、このような上部気道閉塞がみとめられる動物への麻酔の危険性は高度で、十分な知識と技術が必要となります。
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